ワイン | Kimura Cellars Dry Riesling(2023) | ||||||||||||||||||||
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※レビュー欄より続く このリースリングに合わせてみたのは、グレン・グールドの歴史的名盤、『インヴェンションとシンフォニア』(1964年3月18-19日録音)です。 私は予々、リースリングによるワインの風味を、絵画ならモノクロ淡彩の水墨画、音楽ならヴァイオリンやピアノなど単一楽器のソロ演奏のイメージに近いものと考えていましたが、バッハ(日本語でいえば小川さん?)なら、語義的にもリースリングにピッタリですね? 嗅覚・味覚のそれぞれの要素が独立して主張しながら、重層的(ポリフォニック)な調和の取れた美しい味わいの全体像を示しているのは、正にバッハの器楽曲の世界。 一方、グールドのバッハは、かなり変テコ&イレギュラーな演奏です。 まず順番が変。 通常、この曲の録音は楽譜の順番通り、最初に15曲の2声のインヴェンションを弾き、続けて3声のシンフォニアとなるのですが、この録音では、各調毎にインヴェンションとシンフォニアがペアとして扱われて演奏され、順番もグールドによって変えられています。 次に、テンポがかなりヤバいです。 極端に遅いものもあれば、限界突破!のような速弾きもあり、聴いていると身体を揺らされ、ヘビメタの縦ノリに近い感覚を味わえます(大汗) そして、2声と3声に続く、4番目の声部ような、グールドの鼻歌が漏れなく付いてきます…。 この録音の最初から最後まで続くグールドの鼻歌は、まるで呪文のようで、はじめは違和感しかありませんが、聴き込むうちに、何か演奏を強化する強化魔法(エンチャント)の詠唱のように思えてきて、しまいには鼻歌のない普通のピアニストの演奏が物足りなくなります…。 このリースリングワインとの相性も抜群で、私には、「美味しくな〜れ♪ 美味しくな〜れ♫ 萌え萌えキュンッ♡」と、グールドが囁いているように聞こえました(爆笑) 素晴らしいワインと素晴らしい音楽が組み合わさって、何かとんでもないものが出現してしまったようで、茫然自失するしかありませんが、人智を超えた「何か」を召喚してしまうのも、マリアージュの醍醐味ではないか?と感じた次第です✨
iri2618 STOP WARS
はい、小川さんです!(笑) グールドは僕も大好きです。 僕の友人のバイオリニストはグールドは嫌いだそうです(笑)
DaMasa
DaMasaさん 召喚魔法が効いた⁉︎(笑) とても美味しいリースリングでした♡ グールドのバッハって、本当に歌ってるせいなのか、カンタービレがあって、ヴァイオリン演奏みたいなピアノではありますね?
iri2618 STOP WARS
この録音は、グールド本人は良いのですが、楽器の調子が悪く時折潰れた音がするのが気になって……20年近く聴いてないと思います。 今日、帰宅したらワインに合わせて聴いてみようかなぁ。 あ、リースリングがないや(・∀・)
bacchanale
bacchanaleさん コメントありがとうございます♪ わざと滑らかさを排除して、「おもちゃ」みたいな響きを狙ったチューニングと弾き方だと思っていました…。ちょっとプリペアードピアノみたいな音がしますよね? そっち系の音楽からクラシックに入ったもので、個人的には全然違和感がありません(笑) グールドの演奏は、実際に歌っていても、そこにカンタービレがあるとは限らないのが面白いですね(๑˃̵ᴗ˂̵)
iri2618 STOP WARS
こちらの録音を聞いたことがありませんでした! 早速聴いてみます(*^^*)♪
めえめ
2023 キムラ・セラーズ ドライ・リースリング アワテレ・ヴァレー マールボロ 南島/NZ 木曜日のワイン。 毎年、3月13日は「国際リースリングの日/International Riesling Day」だそうです。 その由来は、ドイツ・ラインガウの貴族間で取引きされたぶどう苗の請求書に「リースリング」の記載があり、これが歴史上最古の記録とされていることによります。 その請求書の日付が1435年3月13日だったことから、ドイツワイン協会がこの日を「リースリングの誕生日」と定めました。 今年で590歳ということになりますね♪ ちなみに、リースリングという名前のルーツには諸説あるようですが、「流れる」という意味を持つ「riesen」という言葉から名付けられたという説があります。 これは、リースリングが、開花期の降雨などの影響で花が落ちてしまう花ぶるいを起こしやすく、「花が結実せずに流れてしまう」ことをあらわしているとのこと。 まあ、言ってることはわかりますが、私は、渓流に浸み出す岩清水のような、清冽な流れをイメージさせるリースリングの風味をあらわした言葉と取りたいですね(笑) さて、590歳の「誕生日」をお祝いするワインは、こちらの都合により、ドイツではなくニュージーランド(NZ)のリースリングです(汗) マールボロは、南島の北東部に位置するNZ最大のワイン産地で、畑が所在するアワテレ・ヴァレーは、3つあるマールボロのサブリージョンの中で、最も南にある冷涼なエリアだそうです。 マールボロという産地の特徴は、高緯度による日照時間の長さ、海風がもたらす冷涼な気候、昼夜の寒暖差、秋の乾燥した気候だそうで、それらにより、ハングタイムの長いぶどう(ゆっくり成長することで酸を失うことなく完熟し十分なアロマと糖分を得られる)を収穫できる理想的なワイン産地なのだとか。 キムラ・セラーズのリースリングをいただくのは初めてですが、どんなワインでしょうか? まず外観は、微かに黄金の調子を帯びた、透明感のあるレモンイエロー。 冷涼なエリアのリースリングにつきものの青…というか緑のトーンがほとんど認められないことから、比較的温暖な産地の、よく熟した果実から得られた色調のように思われます。 スクリューキャップのボトルですが、細かな泡がグラスにへばりついたりということもなく、完全にスティルな状態です。 グラスからは、青りんごやライムジュース、ラムネのような、少し青っぽい性質の、甘く熟した果実の香り。 タイムやアップルミントのような優しいハーブのニュアンスもありますね。非常に気持ちの良い、フレッシュで爽やかな風味です♪ 口に含むと、クリーンでピュアな果実味と強い旨みを感じます。 石灰系の硬さやほろ苦さを感じさせる、カリッとした繊細なミネラルも印象的で、このミネラル感がベースとなった高原の岩清水みたいな味わい(イメージです…)だと思います。 若干、甘さを感じますが、これは強い旨みのもたらすイリュージョン(?・笑) でしょうか?? 基本的にはドライな味わいで、よく伸びる高音のような、心地良い酸味がその骨格をつくっている印象です。 インポーター情報をチェックすると、残糖量は4.3g/Lと記載がありました。 んッ⁉︎ EUの規定だと、ドイツならトロッケン/Trocken、フランスならセック/Secと呼ばれる「辛口」の残糖量は4g/L以下とされていますので、僅かにハミ出していますね…(苦笑) ちなみに、アルコール度数はボトル表示で12.5%、インポーター資料では12.3%とありますので、仕上がりのバランスを考えて、敢えて糖分をハミ出させたのかな?と愚考します。 しかし、その僅かなハミ出しが美しいアクセントになっていて、甘辛旨酸苦が程よく調和した、素晴らしいバランスの味わいとなっています! ※以下、コメント欄に続く
iri2618 STOP WARS