涼やかな風が吹く初夏に飲みたくなるワインは数多くあるが、当然ロゼも選択肢の一つ。 大好きなボーグルのこちらのキュベは、カリフォルニア産の国際品種をプロヴァンス風の作りで醸造したもの。 トキ色の色合いと華やかなフルーツや花の香り、飲む前から期待が高まる。 リースリンググラスのような形状のグラスでは爽やかさが際立ち、ブルゴーニュグラスでは仄かな甘みとまろやかさが引き立つ。 客人がどちらのグラスのものを好むだろうかと、恐らくあの人はこちら、あの人はそちらと思い巡らすだけで楽しくなる。 ものすごいクオリティで感動を呼ぶようなワインでは勿論ないのだが、ホームパーティのようなシチュエーションにはかなり適性が良いと思われる。 以前にボーグルの生産者の方とお会いした時に「あなた方の作るワインがスーパーで気軽に手に入れば日本のワイン需要は劇的に変化すると思います！」と熱く語ったのだが、本国で十分過ぎるほど販売実績のある彼らからすれば日本ではもう少し大切に扱われたいという気持ちがあるらしく「日本ではスーパーには置いて欲しくない」と返されてしまったことを思い出す。 心の底から尊敬しているこの作り手の思いを、彼らのように明るく気さくに伝えながら提供するのは、1ワインラヴァーとして幸せなひとときだなぁ、と1人浸る。

m.shingo