外観は淡目のルビー色。エッジに向けてかなり透明感が出ている。 注ぎたてのグラスから香りを取ってみる。自分の経験不足もあって、第一印象は軽くプラムを感じるくらいかなーと、やや拍子抜け。しかしその直後、名状しがたい複雑な花の香りが突如として襲い掛かってくる。完全に油断していた。。。まるで自分が異世界に投げ込まれたかのような、官能的かつ衝撃的な体験。 口に含むとチャーミングな赤果実系の味わいも、抜栓後20分もしないうちに徐々にコクが出てきて複雑味を増してくる。 そして抜栓一時間半後、香りは更に複雑になってゆく。焼きたてのトースト、バラの香り。ナツメグや丁字など、オリエンタルなスパイスの香りも感じることができる。 ひと通り食事を楽しんだ後は、チーズを幾つか頼んでみる。その中でもÉpoissesの熟成は最高潮を迎えており、濃厚な香りを纏いとろとろの状態になっていた。本当に美味しい。しかし驚くべきことに、この極めて個性的なチーズに対して、Échézeauxの味わいは全く負けていない。合わせてみても、むしろワインの方が口の中で強烈な存在感を放っている。 こんなに繊細でエレガントなワインなのに、何故なのだろう？？ 今回は最後まで一本のワインに圧倒されっぱなしだった。

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